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青森の夏祭り「ねぶた」「ねぷた」の違いは?それぞれの祭りの特徴も紹介

2025 7/21
旅行情報
2025年7月21日

青森の短い夏を彩る「ねぶた」と「ねぷた」。

「『ぶ』と『ぷ』、どっち?」と思っている方もいるのでは。答えは「ねぶた」と「ねぷた」は別モノ。今は一般的に「ねぶた」は青森のもの、「ねぷた」は弘前のものを指します。

呼び名のちょっとした違いかと思いきや、祭りの主役となる灯籠型の山車の形、祭りでの掛け声やお囃子など、それぞれに特徴があることをご存じですか?今回は青森の夏の風物詩、「青森ねぶた祭」と「弘前ねぷたまつり」について、詳しくご紹介します。

目次

「ねぶた」「ねぷた」の起源

実のところ、明確な起源は分かっていません。

「ねぶた」は、七夕の夜に川や海に穢れを流して無病息災を祈る「七夕祭り」の灯籠の変形だろうと言われていたり、「ねぷた」は夏の農作業の繁忙期にやってくる睡魔を追い払うための行事「眠り流し」から生まれたのではと言われていたり、由来は諸説があります。

津軽において、初めて「ねぶた(ねむた)」という言葉が登場するのは、弘前藩庁「御国日記」。1722(享保7)年7月6日に5代藩主・津軽信寿(のぶひさ)が紺屋町の織座で「祢(ね)むた流」を高覧したとの記載があるようです。

現在では、青森の人形型灯龍を「ねぶた」、弘前の扇型灯籠を「ねぷた」と分けて表現することが多く、明確に統一されたのは弘前が1957(昭和32)年、青森が1958(昭和33)年から。呼び方については、「眠り流し」の「眠り(ねむり)」が訛って「ねぶた、ねぷた」に変化したと考えられています。

今回の記事では「青森ねぶた祭」と「弘前ねぷたまつり」の2つを紹介しますが、県内では他にも五所川原、平川、黒石、大湊など、各地でさまざまな「ねぶた・ねぷた」祭りが催されています。最後に「おまけ」としてまとめているので、興味がある方は読んでみてください。

圧倒的な躍動感!
囃子とハネトとねぶたが一体になる「青森ねぶた祭」

“ねぶた祭り”と聞いて青森県外の方が思い描くのは、「青森ねぶた祭」ではないでしょうか。2024年には約100万人の人出があり、かつては300万人近い観光客で賑わったことも。

大きさや形の特徴

青森のねぶたは、立体的で複雑な構造の人形型。大きさは、運行用の台車に載せると高さ5m×横9m×奥行7m、重さは約4トンにもなります。鮮やかな彩色を施された華やかで巨大な灯籠が、夜の青森を練り歩く姿は躍動感たっぷり!

ねぶたのテーマは日本や中国の神話、武将などをテーマにしたものが多く、各ねぶた師によって、表情や背景、着色の色合いなどさまざま。2024年には22台の大型ねぶたが出陣し、多くの観客を魅了しました。

運行での特徴

運行コース内では、沿道の客に向かって正面を見せる「見栄を切る」動きをしてくれたり、広い国道では回転してくれたり、ねぶたを先導する扇子持ちと曳手の息があった動きも必見です。

運行中、大型ねぶたとともに注目してほしいのが、囃子と跳人(ハネト)。

囃子は笛、太鼓、手振り鉦で構成され、一団体あたり50~100人ほどで迫力ある演奏で祭りを盛り上げます。囃子に合わせ、踊り子となる跳人たちは「ラッセ―ラーラッセ―ラー」の掛け声とともに跳ね踊り、ときには観客も交えて大盛り上がり。場は大きな一体感に包まれます。

祭りを盛り上げる「跳人(ハネト)」

跳人の衣装は、白地を基調にした浴衣、タスキ、オコシ(腰巻き)、シゴキ、ガガシコ(ブリキでできた水や酒を飲む器)、頭には花笠、足は白足袋と草履というのが正式なスタイル。

観光客でも、運行団体に所属していなくても、跳人としての参加は誰でもOK。衣装を着用して正装していれば、すべての団体の運行に自由に参加できます。より近くでねぶたや囃子、跳人たちの熱狂を感じたい方は、跳人参加がおすすめ!

基本的な運行時間は19時~21時までの2時間ですが、途中で抜けたり、休憩してから再度別の団体の運行に入ったりするのも可能なので、運行委員の指示に従いながら、各自のペースで祭りを楽しみましょう。

「衣装を持っていない…」という方もご安心を。祭り期間中は、衣料品店などで衣装レンタルや着付けをおこなっています。運行前の待機時間も衣装を着ているだけで、お祭り気分を味わえます。運行がスタートしたら、周りの跳人の見様見真似で思いっきり楽しみましょう!

<開催情報>

名称:青森ねぶた祭

開催期間:毎年8月2日~7日

場所:青森県青森市

公式サイト:青森ねぶた祭実行委員会事務局

https://www.nebuta.jp

静と動のコントラストを体感!
勇壮華麗な「弘前ねぷたまつり」

大きさや形の特徴

弘前のねぷたは「扇ねぷた」と「組ねぷた」の2種類。主流はアーチ状の扇のような形をした「扇ねぷた」で、大小さまざまなサイズがあります。「組ねぷた」は青森のような人形型。2つのねぷたを合わせ、約80台が夏の城下町・弘前を彩ります。

扇ねぷたの正面は「鏡絵」と呼ばれ、三国志、水滸伝、戦国時代の武将などが力強く描かれ迫力満点。臨場感あふれるダイナミックな武者達の動きや表情は、圧倒されること間違いなしです。変わって「見返り絵」と呼ばれる裏面には、妖艶な美人画やおどろおどろしい幽霊画。1つのねぷたで、”動”と”静”を表現しているのがねぷたの特徴のひとつです。

ねぷたの下にある「開き」と呼ばれるパーツには牡丹の花、さらにその下には「雲漢」という文字が書かれています。津軽藩主津軽家の家紋が牡丹だったこと、また中国で「雲漢」は「天の川」を意味することから、どのねぷたにも共通して使われています。

運行での特徴

運行には、昔ながらの町会やグループが参加していて、地域ごとに特色あるねぷたが登場します。団体ごとに運行責任者を先頭に、「前灯籠」「町印」「前ねぷた」「本ねぷた」「囃子方」と隊列を組み、練り歩きます。「青森ねぶた祭」でいう跳人の姿はなく、地域の伝統行事の側面を色濃く残しています。2024年は66団体が参加しました。

小型ねぷたから登場し、徐々に大型ねぷたに変わっていくので、終盤に向かって観客のテンションも否応なしに盛り上がります。運行コースは、土手町コース、駅前コース、七日日コースの3種類。日によってコースが異なるので、事前にチェックしてくださいね。

囃子は笛、太鼓、鉦で構成され、運行の進行状況によって「行き」「休み」「戻り」の3節を使い分けて演奏します。曳手の掛け声は「ヤーヤドー」。地の底から湧き上がるような掛け声に合わせ、闘志を秘めたような雰囲気が漂うことから「弘前ねぷた」は「出陣ねぷた」と呼ばれることも。

伝統ある「津軽情っ張り大太鼓」を見逃すな

各ねぷたに加え、祭りで見逃せないのが「津軽情っ張り(じょっぱり)大太鼓」の模範演技!江戸時代の津軽三代目藩主の逸話を元に、1970(昭和45)年に復元した直径3.3m、胴長3.6mの桶胴締め太鼓の大太鼓が合同運行の出陣式で、50年以上変わらない音色を響かせています。

夜の街に浮かぶ幽玄なねぷたと、太鼓、笛、鉦、力強く確かな「ヤーヤドー」の掛け声。厳かながらも、しっとりとした雰囲気をお楽しみください。

<開催情報>

名称:弘前ねぷたまつり

開催期間:毎年8月1日~7日

場所:青森県弘前市

公式サイト:公益社団法人弘前コンベンション協会

https://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=cat02_summer_neputa

https://www.hirosaki-kanko.or.jp

それぞれの魅力を現地で体感してみて

多くのファンが熱狂する青森の夏祭りの代表格、「青森ねぶた祭」と「弘前ねぷたまつり」。県内ではさらに、五所川原、平川、黒石、大湊など、各地でさまざまな「ねぶた・ねぷた」祭りが催されています。

ぜひ実際に青森や弘前などを訪れ、違いを体感しながら、迫力あるスケールで運行される「ねぶた・ねぷた」をお楽しみください。写真や映像で見るよりもきっと、五感が刺激される感動があなたを待ち受けているはずです。

<おまけ>青森県内のねぶた・ネプタ・ネブタ

冒頭で紹介した県内各地のねぶた・ねぷた関連の祭りをまとめました。青森市や弘前市以外でも開催されているので、興味がある方は訪れて、さらに深くねぶた・ねぷたに触れてみてくださいね。開催時期が近いので、祭り目当てに来青するのもおすすめ。活気あふれる青森の夏を体感ください。

■青森市

・浅虫温泉ねぶた祭

青森市から電車や車で約30分ほどの場所にある「浅虫温泉」エリアで開催される地域ねぶた。地域住民によって人形型のねぶたが運行され、近隣温泉の宿泊客も入り混じるアットホームな雰囲気の祭りです。例年、7月に2回、8月に1回運行されています。

<開催情報>

開催時期:毎年7月中旬、8月中旬

場所:青森県青森市浅虫

主催:浅虫ねぶた実行委員会

・油川ねぶた祭り

青森市の油川地区で行われる、地域ねぶたの合同運行。青森ねぶた祭でも運行される油川幼稚園ねぶたが一足早くお披露目になる祭りです。幼稚園生や地域住民、学生なども参加し、油川を練り歩きます。

<開催情報>

開催時期:毎年7月最終日曜

場所:青森県青森市油川地区

主催:油川ねぶた祭り実行委員会

■つがる市

・つがる市ネブタまつり

青森県西北地域のつがる市では、県内のねぶた祭りの先陣を切って、人形型や扇形のねぶた運行が行われます。最寄り駅は遮光器土偶型駅の木造(きづくり)駅。ねぶたと一緒に、縄文の風を感じるのもおすすめ。

<開催情報>

開催時期:7月最終金曜~日曜

場所:青森県つがる市

事務局:つがる市商工会

■黒石市

・黒石ねぷた祭り

市内の町内会や有志会をはじめとした近隣地域からも参加があり、例年70台を超えるねぷたを運行しています。人形型と扇形の両方が共存していて、人形ねぷたは5段ある高欄に人形ねぷたの本体を乗せ、見送り絵が付くのが特徴のひとつ。風情ある街並みと細やかなねぷたの華やかさをお楽しみください。

<開催情報>

開催期間:2025年7月30日~8月5日

場所:青森県黒石市

主催:公益社団法人黒石青年会議所

■平川市

・平川ねぷたまつり

青森県津軽地方の南端に位置する平川市では、扇ねぷたの運行が行われています。7mを超える大型のねぷたやもう少し小ぶりなサイズの中型ねぷたのほか、高さ12mの「世界一の扇ねぷた」も!8月初旬の2日間の祭りのほか、お盆時期に帰省されている方へ向けた「平川あどの祭り」の開催もあります。

<開催情報>

開催期間:毎年8月2日・3日、あどの祭り8月14日

場所:青森県平川市

主催:平川ねぷたまつり実行委員会、平川あどの祭り実行委員会

■五所川原市

・五所川原立佞武多(たちねぷた)

明示中期から後期にかけて行われた五所川原市のネブタ祭りを原型に、平成になって復活した際に名付けられたのが現在の「立佞武多」。時代の変化や戦争での資料消失により長らく作られなくなっていた大型ネブタですが、平成8年に有志の手で一世紀ぶりの復活を遂げました。現在では大中小さまざまなねぷたや20mを超える高さの大型立佞武多が運行されています。

<開催情報>

開催期間:毎年8月4日~8日

場所:青森県五所川原市

主催:五所川原立佞武多運営委員会

■むつ市

・大湊ネブタ

むつ市の大湊地区の町内会などによって制作される人形ねぶたを8月上旬に運行しています。2025年は運行140周年になるのだとか。

<開催情報>

開催期間:毎年8月上旬

場所:青森県むつ市大湊駅周辺

問い合わせ先:むつ市経済部観光・シティプロモーション推進課

・川内ネブタ祭り

むつ市川内町でお盆の時期に開催されています。人形型のねぶたが町を練り歩きます。

<開催情報>

開催期間:例年8月中旬

場所:青森県むつ市川内町

※参考・出典

・青森県/祭り

https://www.pref.aomori.lg.jp/kids/09_festival.html

・青森県観光国際戦略局まるごとあおもり情報発信チーム/ねぶた・ねぷた 楽しみ方ガイドブック」

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://aomori-tourism.com/lsc/upfile/pamphlet/0000/0020/20_101_file.pdf

・ねぶたの家「ワ・ラッセ」/ねぶた資料入門編

https://www.nebuta.jp/warasse/shisetsu/about.html

・青森ねぶた祭/ねぶたを知る

https://www.nebuta.jp/know

・弘前ねぷたまつり

あわせて読みたい
ねぷたの起源と呼称 – 弘前ねぷた参加団体協議会

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